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「ドキュメンタリー 頭脳警察」映画公式ブログ

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2009年 11月 25日

11/13(金)頭脳警察×瀬々監督×須田諭一さんトークイベントレポート

7日間連続の公開記念イベントも遂に最終日。シアターN渋谷での大トリを飾るのは、頭脳警察PANTAさんとTOSHIさん、そして瀬々敬久監督、企画者の須田諭一さん!
キャストとスタッフの御大が満を持しての勢ぞろい。
「悪たれ小僧」揃い踏みのトーク、ご堪能頂ければ幸いです。
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「ドキュメンタリー 頭脳警察」はこの人がいなければ生まれなかった。言い出しっぺこと企画者の須田諭一さんが口火を切る。
須田「2004年に出した頭脳警察の証言集『頭脳警察』(河出書房新社)の執筆過程で、これを映像化したいなと思い始め、それを瀬々さんに相談したのがきっかけでこの映画に至りました。撮影に3年、編集に10か月、およそ4年間かけて作りました。瀬々さんと頭脳警察が合体したらどんな映画になるんだろうと楽しみにしてましたら、男子トイレに列ができるような映画ができたという感じです」(場内笑)
確かに。連日、男臭い劇場なのは否めない。
これを受けて瀬々監督は、
瀬々「最初、須田さんに誘われたときはどんな切り口で撮ろうか皆目見当もつかなかった。そのときは頭脳警察が再結成するという話もない頃。方向性がないままに撮り始めましたが、PANTAさんのお母様のお葬式を撮影する機会があり、お母様は従軍看護婦で氷川丸に乗って帰って来て、その思い出が『マラッカ』や『氷川丸』という曲を生んだこと、また重信房子さんと往復書簡をして曲が生まれたこと。そんなエピソードを知って、頭脳警察を通して歴史や社会を見ていく映画になればいいなと。そのときからこれは長い映画になるなと感じ、3部作という構想も早いうちからありました」と、3部作5時間超についての迷いのなさを説明する。
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一方、3年間、撮られ続けた側はどうなのだろう。
TOSHI「すごくいい目線で私たちを捉えてくれて嬉しいです。瀬々さんやスタッフに感謝しています」
PANTA「試写会で5時間14分の大作だと聞かされたときは『何で2時間にできなかったの?』と(笑)。監督は『これ以上カットできない』と言うわけです。俺にとってはカットしたいところばかりだった(笑)。例えば、差し歯を治す前で前歯が出ちゃってるとことか(笑)。ただ、観終わって監督にどうでしたか?と聞かれたとき、まったくOKと。All OR NOTHING。言うか言わないかですから。全て監督にお任せすると。初めてテープレコーダーに自分の声を入れて聞いたときの印象に近い」
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続いて好きなシーンを聞いてみた。
須田「すごくいい男がいっぱい映ってます。改めて被写体として、普通の人とは違うなと。僕がちょっと映ってたりするとやばいなと」
PANTA「結局、自分のことかよ!」(場内爆笑)
ここからは残念ながらネタばれ満載。口が裂けても書けまへん!以下、キーワードのみお伝えを。
須田キーワード「汽笛。石井正夫さんとTOSHIさん。西部講堂。男は黙って頭脳警察!」
瀬々キーワード「松葉杖。ヒーロー。笠智衆。」
PANTAキーワード「ルーズソックス。寝顔。小津。」(場内爆笑)
何のこっちゃ!のキーワード。謎解きは劇場で。


このあたりから空気はすっかり「頭脳警察」仕切りに。
PANTA「この映画はTOSHIや中山努がカッコよく撮られすぎ(笑)。女性人気が急上昇だよ。これは詐欺だね」
TOSHI「ざまぁみろ」(場内爆笑)
瀬々「そう言いますけど、PANTAさんは試写の後に『TOSHIをたくさん映してフューチャーしてくれてありがとう』と言ってましたよね。本当は熱い友情があるなと」(更に爆笑)
PANTA「それは妬みの裏返しだよ!」
司会「結成から40年たっても友情は変わらないという…」
PANTA「ゆ…友情ですかぁ!?」(更×更爆笑)
TOSHI「あのねぇ、友情があったら40年続いてない」
司会「友情を超えた…?」(苦笑しながらも粘る司会)
TOSHI「友情は超えてるね。何なんだろうね」
PANTA「ふたりで歌舞伎町を手つないで歩いたよね昔(笑)。ビートニクスというヒッピーの前身の人種がいて、ニューヨークのグリニッジ・ビレッジってところに詩人とかアーティストが溜まってたわけです。そこにいたアレン・ギンズバーグという人が、<大いなる愛>というのを説いていたんですね。男と女が手をつなぐのは自然だけれども、男と男、女と女が手をつないでどこが悪いと。俺はそれを読んで『その通りだ!性の壁を乗り越えなければいけない!』と思って。それでTOSHIと手をつないで歌舞伎町を闊歩したわけです。そしたら何のことはない。ギンズバーグはゲイパワーのことを言っていただけだった(笑)。そういう青春時代でした。恥ずかしかったですねぇ」
司会「40年たって変わったことは?」(負けない司会)
TOSHI「毛がなくなった」(笑)
PANTA「ボーカリストやってるとバッターやボクサーと一緒で、歯とかお尻とかボロボロになりますね」(笑)

司会の踏ん張りもここまでか。そりゃそうだ、彼らにゃ敵わねぇ、という瞬間に瀬々監督が<監督力?瀬々力?>を発揮。
瀬々「映画観て思ったんですけど、PANTAさんはTOSHIさんには特別な対応をしますよね。他の人とは違うというか」
PANTA「え!?そう?」(いいぞ、監督!)
瀬々「PANTAさんは結構気を遣う方なんですけどTOSHIさんには一切気を遣わない」
PANTA「それは、遣わないな」
TOSHI「気は遣わないわ、金は使わないわ…ホント使わないよ、こいつ!」
PANTA「さっきコーヒー奢ってあげたじゃん!」
短い時間では瀬々力にも限界ありか。恐るべし頭脳警察!
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最後に、4人からメッセージを。
須田「5時間という時間をかけたということもありますがライブシーンがたくさん入っている。しかもちょっとこれは観れないよというぐらいのパフォーマンスが映像の中に納められたと思う。その瞬間にカメラを回せたのは幸せだったと僕は思います。それがこの映画の醍醐味かな」
瀬々「20代ぐらいから頭脳警察が大好きでよく聞いていて『ふざけるんじゃねえよ』と歌いながら仕事してたんですけど、そのおふたりとこういうところで話をしたり、一緒に映画を作ったりすることは、今考えると本当に夢のようなことだったし、やっとここまできたんだとすごく感激しています。頭脳警察は僕たちの記憶の中で生きているわけではなくて、今もこうやって活動しているわけで。決して伝説のバンドではなくて、今を生きているバンドだと改めて感じました。僕たちも一緒に『なんとかしようぜ』ということでやっていきたい」
PANTA「映画の中で重信房子という女性を鏡にしているのと同じように、頭脳警察を見ているみんなからは鏡だと思うんです。どんな風に反射していくのか、照射されていくのかなという鏡。鏡にもいろいろあって、鏡の色、色彩、光の具合、それらは全て自分に跳ね返ってくる。いろんな鏡に光を当てて、返ってくる光を自分は受け止めている。光が強ければそれだけ影が濃い。どんな人間でも薄い光の裏には薄い影。そういった中で人間らしい生き方、人間らしいロックミュージシャンのあり方、イデオロギーだとか、政治だとか、ロックはこうでなくちゃいけないとかそんなことじゃなくて、自分らしく人間らしく自分にとってのナチュラリーな音楽をやっていけたらと思います」
TOSHI「私はPANTAみたいに真面目ではないし、酒に逃げるタイプなので、ほとんどいい加減にもうすぐ60を迎えます。そして何の目的もなく、答えもなく、いまだにジタバタジタバタ生きています。頭脳警察がいつまで続くかわかりませんが、とりあえずはよろしくお願いします」(場内大拍手)
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悪たれ小僧4人の勢いは止まらない。彼らの生き様から、歴史が、社会が、言葉が、音が、色気が、そして今が見つかる。そんな映画であるはずです。

by zk-movie | 2009-11-25 15:54 | イベント情報


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